2018 年 124 巻 4 号 p. 297-310
大雪火山群で活動を続ける旭岳について,後期更新世~完新世のマグマ噴火および水蒸気噴火堆積物の層序を明らかにした.旭岳のマグマ噴火は,1.5万年から9千年前頃が最盛期で,それ以降,マグマ噴出率は低下していく.約5,000年前以降にマグマ噴火は発生していない.その後旭岳では,約2,800年前に規模の大きな水蒸気噴火があり,現在の地獄谷爆裂火口が形成された.最後の噴火は,約700年前の小規模な水蒸気噴火である.旭岳は現在噴気活動が活発ではあるが,最近2,800年間でみると噴火頻度は低い.しかしながら多数の観光客や登山者が訪れる現状を考慮すると,小規模な噴火の可能性に留意しておく必要がある.