2018 年 124 巻 8 号 p. 627-642
前期中新世末期~中期中新世の北海道中央部では,島弧–島弧衝突により南北約400km,幅数10kmにわたる地域に狭長な前縁盆地群(foreland basins)が形成された.これら前縁盆地群の埋積層に対しては,これまでに多くの堆積学的な研究が行われてきた.このうち前縁盆地群南部を構成する日高堆積盆の埋積層は,陸上分布(日高海岸地域)および沖合延長部(日高沖)ともに石油胚胎の期待が高まっている.
本巡検では,日高海岸地域に分布する中部~上部中新統を対象に,日高堆積盆の埋積に伴う堆積システムの変化(トラフ充填型タービダイト→プロファンデルタ堆積物→ファンデルタスロープ堆積物)を観察し,従来の研究で解釈された堆積学的枠組みの特徴について議論する.また層序や地質構造と油徴との関係や泥火山の分布について,石油地質学的な観点から新たに議論する場としたい.