2019 年 125 巻 1 号 p. 107-118
琵琶湖の西方には白亜紀の大原・仰木の2つの花崗岩質岩体が近接して露出する.大原岩体(4×1km)は細~中粒弱斑状トーナル岩を主岩相とし,磁鉄鉱系でアダカイト質の特徴を持つ.約100Maの鉱物放射年代を示す.本岩体は丹波帯中央部に点在するアダカイト質岩体の東方延長部に位置する.一方,仰木岩体(5×0.5~1.0km)は細~中粒花崗閃緑岩を主岩相とし,ホルンブレンドの斑晶を顕著に含む.チタン鉄鉱系で非アダカイト質の特徴を持つ.約70Maの鉱物放射年代を示す.本岩体は産状や岩相から琵琶湖コールドロンに関係する岩脈状の岩体とみなせる.