2019 年 125 巻 11 号 p. 781-792
中部日本に分布する白亜紀から古第三紀にかけて活動したとされる酸性火山岩類の内,富山県に分布する太美山層群の試料からジルコンを抽出し,レーザーアブレーション・誘導結合プラズマ質量分析装置(LA-ICPMS)を用いてジルコンU-Pb年代を測定した.その結果,凝灰岩および溶結凝灰岩で約70Ma,貫入岩で約67MaのジルコンU-Pb年代値が得られた.既報の黒雲母K-Ar年代値やジルコンFT年代値は若返りの年代を示している解釈できる.これにより,太美山層群の活動時期は従来から言われていた古第三紀より古く,白亜紀末であった蓋然性が高い.