地質学雑誌
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論説
出羽山地東縁,秋田県角館町周辺の上部漸新統および中新統の層序
細井 淳 工藤 崇羽地 俊樹岩野 英樹檀原 徹平田 岳史
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電子付録

2019 年 125 巻 4 号 p. 279-295

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抄録

野外地質調査とジルコンFT・U-Pb年代測定を行い,出羽山地東縁に位置する秋田県角館町周辺の古第三系~新第三系の層序を再構築した.調査地域には上部漸新統から上部中新統が分布し,その層序は下位から順に,山谷川層(後期漸新世~前期中新世初頭),桂渕層(22Ma頃),塩手沢層(16~15Ma頃),八割層(16~12Ma頃),女川層(12~10Ma頃),山谷層(8Ma頃)である.山谷川層は白亜系の太平山深成変成岩類を不整合に覆うか断層で接する.桂渕層は山谷川層を不整合に覆い,塩手沢層と八割層は桂渕層を不整合に覆う.塩手沢層と八割層の下部は指交関係にある.女川層は八割層を整合に覆い,山谷層は山谷川層と桂渕層を不整合に覆う.従来,本地域の新第三系中部中新統以下の層序関係は不鮮明だったが,その層序関係のほとんどが不整合や指交関係であることが明らかになった.この層序は太平山北東部,阿仁合地域で近年改訂された層序と類似する.

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© 2019 日本地質学会
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