地質学雑誌
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論説
岐阜県高山市本郷地域における飛騨外縁帯の砕屑岩層から得られた砕屑性ジルコンのU-Pb年代とその意義
:森部層およびジュラ系堂殿層(新称)の堆積年代
鈴木 敬介 栗原 敏之植田 勇人
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電子付録

2019 年 125 巻 4 号 p. 307-322

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抄録

飛騨外縁帯の岐阜県高山市本郷地域に分布する,従来,ペルム系森部層に一括されていた砕屑岩層について岩相層序とジルコンのU-Pb年代を検討し,これらを森部層と堂殿層(新称)に区分した.両層の砂岩には火山岩片が豊富に含まれていることから,ジルコンのU-Pb年代において,最も若い年代の集団の年代値が堆積年代である可能性が高い.U-Pb年代の検討の結果,森部層下部~中部の堆積年代の下限は約263~256Maで,中期~後期ペルム紀に堆積した可能性が高い.森部層上部のジルコン年代値の最も若いピークは前期三畳紀を示し,同層の年代は前期三畳紀にまで及ぶ可能性がある.堂殿層の堆積年代は,砂岩中のジルコンのU-Pb年代に基づくと,約186~181Ma(前期ジュラ紀)である可能性が高い.堂殿層は,下部ジュラ系来馬層群の漏斗谷層上部~北又谷層および蒲原沢層上部に対比できる.

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© 2019 日本地質学会
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