地質学雑誌
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論説
富士山東方で1.1kaに発生した大規模火山性斜面崩壊
山元 孝広 石塚 吉浩下司 信夫
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2020 年 126 巻 3 号 p. 127-136

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抄録

富士山東方の静岡県小山町の新東名高速道路の2018年度建設工事現場で,大規模な火山性の斜面崩壊堆積物を確認し,大御神岩屑なだれ堆積物と命名した.この堆積物は,大洞山東斜面に堆積していた富士火山起源のスコリア降下火砕物が表層崩壊を起こしたもので,その南東山麓に長さ4.5 km,最大幅1.5 km,体積9.3×106 m3の規模で広がっている.堆積物直下に神津島天上山テフラの降下層準があること,直上土壌の14C 暦年代から,発生時期は平安時代のAD 838から10世紀前半に特定された.この期間中には東海・南海連動の巨大地震であるAD 887の仁和地震が起きており,この地震動によって斜面崩壊が発生した可能性が強い.

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© 2020 日本地質学会
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