地質学雑誌
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論説
九州北部福岡県筑豊炭田の始新統直方層群下部のジルコンU-Pb年代
宮田 和周 長田 充弘仁木 創太服部 健太郎大林 秀行平田 岳史大藤 茂
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2020 年 126 巻 5 号 p. 251-266

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抄録

九州北部福岡県の筑豊炭田における始新統の直方層群下部の三尺五尺層から,新たに得られたジルコンのウラン-鉛(U-Pb)年代は,かつて同層群上部の上石層から報告されたフィッション・トラック年代(44.2±3.4Ma)よりも有用な年代学的制約となる.LA-ICPMSで測定された三尺五尺層の凝灰岩および凝灰質岩4層の堆積年代は,層序順に下位から46.18±0.59Ma,44.21±0.49Ma,41.53±0.28Ma,そして40.34±0.20Maであった.これらの年代は,三尺五尺層におよそ500万年を超える見かけ上の堆積期間があり,その期間は九州における軟体動物化石年代層序の沖ノ島階の期間(中期始新世中期~後期始新世?)の大半に相当する.また,三尺五尺層基底付近の下部と同層群基底の大焼層は年代的により古い高島階(前期始新世~中期始新世前期)に対比されること示す.すなわち,筑豊炭田の堆積盆形成作用は遅くとも中期始新世前期には既に始まっていたと推測される.

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© 2020 日本地質学会
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