2021 年 127 巻 2 号 p. 105-120
秋田県出羽山地の笹森丘陵北東部に分布する海成新第三系の須郷田層・女川層・船川層・天徳寺層を対象として地質調査と岩相層序区分の再検討を行うとともに,詳細な珪藻化石層序を構築し,本地域の地質と年代層序を総括した.その結果,従来は整合関係とされてきた女川層・船川層境界にハイエイタス(約9.6-9.3 Ma)が存在することが明らかになった.また,須郷田層中に3層,女川層に1層の計4層の海緑石層が挟在し,珪藻化石年代分析により,これらの海緑石層の信頼できる年代が初めて明らかにされた.本地域の海緑石層のうち3層は,日本ですでに報告のある海緑石層に対比できる.