地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
総説
北陸地方における日本海拡大期火成活動の時空変遷:
漸新世~中期中新世火山岩類の層序,年代,岩石学的特徴
山田 来樹 髙橋 俊郎
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 127 巻 9 号 p. 507-525

詳細
抄録

日本海拡大時には北陸地方を含む環日本海地域で活発な火成活動が起きた.日本海拡大期に北陸地方で起きた最初の火成活動は,33 Ma頃の能登半島での安山岩質マグマの活動である.能登半島での安山岩質火成活動は,デイサイト質マグマの活動を挟んで前期中新世にも発生した.一方で後期漸新世~前期中新世には,北陸地方の広範囲で月長石を含む流紋岩質火砕流が噴出した.その後,多様な化学組成をもつ玄武岩~安山岩が前期中新世に北陸地方の全域で大量に噴出した.この火成活動に続いて前期~中期中新世には大量の流紋岩が噴出し,北陸地方は急速な沈降を開始した.この日本海拡大に関連した活発な火成活動は,西南日本弧の時計回り回転の終了にあたる16 Ma頃に急速に減退した.これら火成岩類を形成したマグマは,日本海拡大時にアセノスフェア貫入の影響を受けたマントルウェッジや沈み込むスラブ,大陸地殻が溶融することによって生成されたと考えられている.

著者関連情報
© 2021 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top