地質学雑誌
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論説
十和田火山,噴火エピソードMの噴出物層序と噴火推移
工藤 崇
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2022 年 128 巻 1 号 p. 109-127

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抄録

十和田火山カルデラ形成期の約21 cal kyr BPに発生した噴火エピソードMについて,給源近傍と遠方における噴出物の産状を記載するとともに,岩石学的特徴を用いた両者の対比を行い,この噴火の特徴と推移について考察を行った.噴火エピソードMの噴出物は,給源近傍に分布する雲井火砕流堆積物及びカラタマ沢軽石,給源遠方に分布する米田テフラ(下位より米田1軽石と米田2火山灰に細分)からなる.岩石学的特徴の類似から,雲井火砕流堆積物とカラタマ沢軽石は,米田2火山灰と同時期の堆積物と判断される.噴火エピソードMでは,最初にプリニー式噴火が発生し,米田1軽石が降下堆積した.その後まもなく,湖水の影響を受けた断続的な水蒸気プリニー式噴火へと移行したと推定され,この噴火により米田2火山灰とカラタマ沢軽石が降下堆積した.この噴火では噴煙柱が部分崩壊して火砕流が発生し,給源近傍に雲井火砕流堆積物が堆積した.

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© 2022 日本地質学会
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