地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
総説
球状コンクリーションの理解と応用
吉田 英一
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 129 巻 1 号 p. 1-16

詳細
抄録

‘コンクリーション’とは,堆積岩中に産出する塊状(主に球状をなす)岩塊のことを指し,炭酸塩,シリカや酸化鉄を主成分とするものが多い.その中でもとくに炭酸塩を主成分とするコンクリーションは,保存良好の生物の化石を内包することが多く,古くは一世紀以上も前から記載・研究がなされてきた.これまでの研究から,炭酸カルシウム球状コンクリーションの形成は,有機炭素のまとまった供給が可能となる大型の生物が出現して以降の海性堆積層中で生じる現象であり,大型の生物が出現して以降の地質時代を通しての普遍的なプロセスと言うことができる.本論では,これらの産状や成因,形成プロセスについてこれまでの研究成果をもとに述べるとともに,コンクリーション化プロセスを応用・開発した‘シーリング素材’及び,その素材を用いた実地下環境でのシーリング実証試験の現状・結果について紹介する.

著者関連情報
© 2023 日本地質学会
前の記事
feedback
Top