地質学雑誌
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論説
比抵抗イメージングによる郷村断層帯周辺の地下構造および断層低比抵抗領域の時間変化の可能性
三村 明山口 覚加藤 茂弘村上 英記金 幸隆福江 一輝倉光 伸小堺 航
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2023 年 129 巻 1 号 p. 75-87

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抄録

京都府丹後半島において27地点でAMT法電磁気探査を実施し,郷村断層,仲禅寺断層,郷西方断層を横断する測線に沿う比抵抗構造モデルを決定した.仲禅寺断層付近より北東側は,この地域に広く分布する宮津花崗岩体の,断層運動の影響をほとんど受けていない構造を示す.中央部の郷村断層直下には顕著な低比抵抗領域が深さ1 km付近まで認められ,これは断層活動に伴って形成されたと解釈した.一方,仲禅寺断層直下にはこのような特徴は認められない.両断層は同じ花崗岩体中にあり,また同じテクトニックな環境下にあることから,比抵抗構造の違いは,活断層の最新活動からの経過時間の違いに起因する可能性を示すと解釈した.南西部の郷西方断層では,断層運動に関連する比抵抗構造の特徴および地表変位が,共に極めて不明瞭であることから,この断層は隣接する郷村断層の活動に伴う副次的な断層である可能性が高いと推定される.

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© 2023 日本地質学会
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