2023 年 129 巻 1 号 p. 125-143
太陽系形成以来,その近傍で超新星爆発が多数回発生したはずである.こうした超新星は電磁波,宇宙線,爆風等を通して,様々な影響を地球に及ぼす.宇宙線による大気のイオン化を通して,オゾンや窒素酸化物量の変化や気候変動を起こす.また強い宇宙線は生物の絶滅や進化を促した可能性がある.宇宙線は大気中の原子と衝突することで,放射性同位体を作り出す.加えて超新星爆発からは60Feなどの放射性元素も運ばれてくる.これらの同位体は堆積物や氷床コアなど地質学的資料に残されている可能性がある.