地質学雑誌
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論説
球状鉄コンクリーションの鉄殻成長過程の実験的解明
岡村 裕之 城野 信一
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2023 年 129 巻 1 号 p. 255-262

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抄録

ユタ州ナバホ砂岩には球状鉄コンクリーション(サイズ:数 mm-数cm,内部:砂,表面:酸化鉄殻)が存在する.鉄殻の形成過程や形成時間をシミュレーションで再現した先行研究はあるが,コンクリーションの内部空隙や溶存酸素濃度の鉄殻形成への影響などが実験的には解明されていなかった.そこでシャーレ内で人工的に鉄コンクリーションを作製し,形成されていく鉄殻(褐色帯)をカメラで撮影する実験系を確立し,画像解析と蛍光X線分析を通してこれらの解明を試みた.その結果,天然の球状鉄コンクリーションの殻形成において,次の2つのことが示唆された.⑴鉄殻形成の初期段階において,短期間で鉄殻が急増するプロセスが存在し,内部空隙が多い程,急増するときの幅は大きくなる.⑵明瞭な殻を持つ鉄コンクリーションは,高い溶存酸素濃度よりも,低い溶存酸素濃度下で形成された.

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© 2023 日本地質学会
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