地質学雑誌
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論説
長崎半島東岸長崎市北浦町の上部白亜系層序の再定義とその地質年代学的意義
宮田 和周 中田 健太郎柴田 正輝長田 充弘永野 裕二大藤 茂中山 健太朗安里 開士中谷 大輔小平 将大
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2023 年 129 巻 1 号 p. 239-254

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抄録

長崎半島東海岸に露出する上部白亜系“北浦層”を長崎北浦層と改定した.本層は下部の赤崎ノ鼻砂岩泥岩部層と上部の座頭浜礫質砂岩泥岩部層に二分でき,両部層は断層で接する.赤崎ノ鼻砂岩泥岩部層から産した2種のアンモナイト類(Polyptychoceras obataiとcf. Phylloceras sp.)と1種のイノセラムス類(Platyceramus japonicus),座頭浜礫質砂岩泥岩部層から産したハドロサウルス上科の鳥脚類恐竜の大腿骨化石を記載した.赤崎ノ鼻砂岩泥岩部層の軟体動物化石と砕屑性ジルコンのU-Pb年代から,長崎北浦層の時代は後期サントニアン期以降であり,おそらくカンパニアン期におよぶ.座頭浜礫質砂岩泥岩部層は岩相から長崎半島西海岸の三ツ瀬層の下部(中期カンパニアン期)に対比できる.長崎北浦層の層序は西九州の上部白亜系姫浦層群の下半部に関連すると考えられる.

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© 2023 日本地質学会
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