地質学雑誌
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論説
中新統,師崎層群と瑞浪層群に含まれる軽石質凝灰岩の対比
古川 邦之 谷 健一郎金丸 龍夫星 博幸
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2023 年 129 巻 1 号 p. 325-340

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抄録

中部地方の下部中新統である,師崎層群日間賀層および山海層下部と瑞浪層群明世層狭間部層における軽石質凝灰岩の対比について検討した.日間賀層および山海層下部の試料からはそれぞれ,狭間部層の年代と調和的な17.87±0.75 Maおよび17.36±0.40 MaのジルコンU-Pb年代が得られた.また日間賀層の古地磁気は山海層下部や狭間部層と同じく逆極性であった.つまりこれら3層はいずれも古地磁気年代のクロンC5Drに相当すると結論できる.EPMA分析から,山海層下部と狭間部層の試料に含まれる火山ガラスは組成変化図において一連のトレンドを示し,3層に含まれる斜長石組成は類似していた.つまりこれら3層の火山砕屑物は同一のマグマ供給系を起源とすると考えられる.以上の結果と古水深から,本研究対象の師崎層群の軽石質凝灰岩は,狭間部層の火山砕屑物が海底を流下して堆積したと考えられる.

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© 2023 日本地質学会
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