地質学雑誌
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論説
北海道女満別およびその周辺地域の新第三系凝灰岩・凝灰質砂岩に含まれるジルコンFT・U–Pb年代とその層序学的意義
加瀬 善洋 渡辺 真人林 圭一廣瀬 亘檀原 徹岩野 英樹平田 岳史
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2024 年 130 巻 1 号 p. 1-15

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抄録

北海道東部,女満別(めまんべつ)およびその周辺地域に分布する下部中新統常呂(ところ)層,中部中新統美都(みと)層下部,鮮新統美岬(みさき)層を構成する凝灰岩・凝灰質砂岩から抽出したジルコンのFT・U–Pb 年代を測定した.常呂層および美岬層から,それぞれ10.8 ± 0.9 Ma(FT)・11.9 ± 0.2 Ma(U–Pb),8.2 ± 0.4Ma(FT)・8.7 ± 0.1 Ma(U–Pb)の後期中新世を示す年代値が得られた.構成岩相や地質分布を考え合わせると,前者は登以加(といか)層,後者は網走(あばしり)層に帰属される地層である.美都層下部からは中期中新世(FT:13.4 ± 0.8 Ma, U–Pb:12.4 ± 0.2 Ma)の年代が得られ,本層が網走層に対比されるという従来の解釈を支持する.本論の結果により,岩相対比に基づき行われてきた中新統~鮮新統の層序は大きく見直 されることとなった.今後,本地域を含む北海道東部の広域的な層序の再検討が必要である.

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