地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
論説
谷底低地のS波速度構造と地盤震動特性:武蔵野台地を刻む神田川および古川沿いの低地を例に
中澤 努 長 郁夫小松原 純子坂田 健太郎
著者情報
ジャーナル フリー
J-STAGE Data

2024 年 130 巻 1 号 p. 17-33

詳細
抄録

東京都区部の武蔵野台地を刻む神田川(善福寺川)および古川(渋谷川)沿いにおいて常時微動観測を実施した.下流部の谷底低地では軟弱な沖積層が厚く,平均S波速度は低い値を示した.H/V スペクトルのピークが低周波数帯域(1.5~1.6 Hz 付近)にみられた地域は,1923年関東地震で被害が著しかった地域にほぼ一致した.一方で中・上流部では,谷底低地よりも,むしろその周辺の関東ローム層や東京層の軟らかい泥層が分布する台地のほうが軟らかい地盤特性を示した.つまり下流部と中・上流部で,台地と低地の地盤特性の相対的関係は逆転する.

著者関連情報
© 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top