地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
総説
内陸下の低周波地震の特徴と発生メカニズム
小菅 正裕
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 130 巻 1 号 p. 63-85

詳細
抄録

低周波地震とは,地震の規模から期待されるよりも有意に低周波の震動が卓越する地震で,通常の地震が発生しない深度で発生することから,その発生メカニズムに関心が持たれてきた.本論では,世界各地で観測された低周波地震の特徴をまとめ,発生メカニズムに関係する観測と解釈を概観する.日本列島の低周波地震は活火山周辺で多く発生するが,非火山地域での発生も少なくない.低周波地震の発震機構解は,ダブルカップルのほか体積変化成分やCLVD 成分を含む場合もあって多様である.低周波地震発生域の地震波速度構造から,発生には流体が寄与すると考えられてきた.最近,日本での低周波地震は地殻浅部においても発生していることと,通常地震に近接して発生する場合があることが明らかになった.これらの観測事実と発震機構解の多様性はせん断開口クラックモデルによって説明が可能で,低周波地震の発生には間隙流体圧が重要な役割を果たすと考えられる.

著者関連情報
© 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top