2024 年 130 巻 1 号 p. 169-187
下北半島には中部中新統の檜川層が広範囲に分布している.本研究では同半島西部,仏ヶ浦周辺地域を中心に地質調査及びジルコンU-Pb年代測定を行い,檜川層の年代層序の再検討を行った.檜川層の模式地である檜川流域からは13.4 Maの年代が得られ,先行研究と一致した.一方,仏ヶ浦周辺域では扇状陥没構造が確認され,仏ヶ浦凝灰岩と福浦流紋岩溶岩が充填していることから,これらはカルデラ形成期の産物であると考えられる.カルデラ東方に分布する縫道石山貫入岩体のU-Pb年代は4.7 Maであり,仏ヶ浦凝灰岩と福浦流紋岩溶岩はそれぞれ4.5 Maと4.4 Maであった.また,カルデラ東南部の境界付近に分布する丸山流紋岩溶岩の年代は4.0 Maであり,後3者を仏ヶ浦カルデラ噴出物と新たに定義する.また,本調査地域の東部から南部にかけて上部中新統の牛滝凝灰岩(7.6 Ma)が新たに見い出され,下北半島西部の上部中新統については,さらなる検討が必要である.