2024 年 130 巻 1 号 p. 189-198
兵庫–鳥取県境の海岸部において,下部中新統火山岩類の地質調査と岩脈法による応力解析を行い,以下の知見を得た.鳥取県域の鳥取層群河原火山岩部層と兵庫県域の北但層群八鹿層は,岩相が類似しており同時期の一連の地層と判断される.これらの火山岩類は基盤と高角不整合の関係にあり,東西走向で北落ちの窪地を埋積したものと推定される.同様の構造は調査地域の約10 km東方でも見出されており,この古地形の成因は火山岩類の堆積以前の断層活動である公算が大きい.火山岩類と同時期の63枚の岩脈の方向解析で,北北東–南南西引張の正断層型応力を得た.これは他地域の北但層群の岩脈の解析の結果と類似しており,北但盆地の応力状態の空間的一様性を示す.