高知県室戸半島行当岬に露出する古第三系室戸層について,岩相分布図と柱状図を作成し,岩相と変形を記載した.その結果,全層厚の約40%を占める9つの乱堆積層を認め,以下の特徴を持つことを明らかにした.(1)一部に欠如はあるものの一定の変形パターンを示す,(2)地層未固結時にできた,層理面に平行な伸長および短縮を示す変形構造が混在する,(3)全体に見られる砕屑貫入岩は,分布や切断関係から地層の未固結変形と同時期に形成したことを示す,(4)調査地域全体で追跡できる断層で切られる,(5)変形構造から推定した乱堆積層の移動方向は,周囲の地層が示す古流向と平行である.これらの特徴から,乱堆積層は塊状運搬堆積物(mass- transport deposits)であると考えた.また,岩相や変形の特徴は,その運動様式がスライドとスランプであったことを示す.