地質学雑誌
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論説
Revision of the age of the “Upper Miocene” Mitoku Formation in Misasa Town, south-central Tottori Prefecture, western Japan
Atsushi Yabe Takeshi SaitoMichiyo ShimizuMakiko KobayashiTohru DanharaHideki IwanoTakafumi Hirata
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2025 年 131 巻 1 号 p. 77-86

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抄録

鳥取県中南部に分布する“上部中新統”三徳層は日本の温帯林の起源とされる三徳型植物群の模式層である.本研究では,本層の年代を決定するため,かつて三徳型の三朝成植物群が報告された三朝町成地域で本層上部のジルコンU–Pb年代を求め,花粉層序からその妥当性を検証した.大型植物化石産出層に挟在する浮石質凝灰岩層および凝灰岩層の年代は約4.7 Ma(前期鮮新世中頃)であった.同層の花粉群集は冷温帯要素と暖温帯要素が混在し,マツ科植物のCathaya属が継続的かつ普通に産した.この特徴は新第三紀花粉層序のNP-5(5.5–3.0 Ma)に一致し放射年代と矛盾しない.三朝成植物群の温暖要素はかつて中新世温暖期の要素が残存したと捉えられたが,本研究から,同植物群が前期鮮新世の暖温帯気候を代表することがわかった.これは同地における三徳型植物群の層位変化の見直しのみならず層序体系の見直しにも貢献すると考えられる.

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