地質学雑誌
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論説
礼文-樺戸帯に属するサハリン南部モネロン島の白亜紀島弧火山岩
相澤 正隆 岡村 聡西戸 裕嗣
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2025 年 131 巻 1 号 p. 87-105

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抄録

サハリン南西部のモネロン島から得られた深部ボーリングコア中の白亜紀火山岩類は,玄武岩質から安山岩質の島弧マグマ組成を有し,礼文-樺戸帯に属する.モネロン島火山岩のHFS元素組成はN-MORBに類似し,イザナギプレートの沈み込み時にスラブ堆積物メルトの寄与量が減少していたことが示唆される.

西太平洋周辺のテクトニクスは,主に花崗岩質岩の研究により,約127 Maごろのファラロン-イザナギ海嶺の沈み込みと,56–46 Maのイザナギ-太平洋海嶺の沈み込みに伴う火成活動の停止,およびマントル組成の置換が議論されている.一方で,モネロン島火山岩に関する本研究の同位体データは,本地域周辺におけるイザナギ-太平洋海嶺の沈み込み前後でのマントル置換を否定する.花崗岩質マグマは地殻成分の影響を強く受けていることが多いため,スラブ-マントル相互作用の解明には,玄武岩質の岩石を用いることが重要である.

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