抄録
異なる応力のもとで動いたという意味で異質なデータが混在するような小断層データから, それらの応力を分離する方法を探ることが, 本研究の目的である.房総半島に分布する更新統中部の大田代層・梅ヶ瀬層・国本層からデータを集めた.各層のデータとも, 断層面が平行でもスリップ方向が大きく異なる断層を含むことから, 複数の応力状態を記録していることわかる.まず各層のデータについて逆解法で最適な応力状態を求め, それから各断層の変位する方向を計算し, 観察した方向とのずれ^^^(・・)を算出した.ずれ^^^(・・)の頻度分布が各層のデータとも, バイモーダルになることから, もとのデータを分割し, それぞれに対して最適な応力を再度計算した.主軸方向の類似性から, 得られた応力状態を分類した.その結果, 3つの応力状態を認めることができた.その1つは, 隣接地域のより古い地層の研究から推定されている古応力場と同じらしい.