地質学雑誌
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北部北海道, 後期中新世遠軽火山活動域における背弧海盆型の玄武岩質マグマと島弧地殻の反応によって生じたマグマの同時代の活動 : Sr・Nd同位体比および主要・微量元素組成の証拠
山下 智士周藤 賢治垣原 康之加々美 寛雄
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1999 年 105 巻 9 号 p. 625-642

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抄録
北部北海道オホーツク海側の遠軽地域には, 7-9 Maの火山活動によって形成された大量の玄武岩(留岡(TM)玄武岩, 千代田-隠沢(CK)玄武岩)と流紋岩(岩松(WK)流紋岩)および少量の安山岩(栄野(SK)安山岩)を産する.玄武岩類はBABBに似た地球化学的特徴をもつ.TM玄武岩以外の火山岩は主要・微量元素組成の特徴から2つのタイプに区分される.高いSrIと低いNdIをもつWK-I流紋岩は, 地殻物質の部分溶解によって, SK-I安山岩は, CK-I玄武岩質マグマとWK-I流紋岩質マグマを含む複数の流紋岩質マグマとの混合によって形成された可能性がある.一方, SK-II安山岩とWK-II流紋岩は, CK-II玄武岩質マグマからの結晶分化作用によって形成された.千島海盆の拡大に伴って上昇したアセノスフェアから生じた玄武岩質マグマの添加により, 地殻が部分溶解して流紋岩質マグマが生成され, さらに両マグマの混合によって安山岩が形成されたことを議論した.
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© 日本地質学会
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