2000 年 106 巻 2 号 p. 112-119
粒子の移動形態は堆積物中の粒子配列に影響するので堆積学的に重要である.これまで種々のベッドフォームの粒子配列が調べられ, ベッド付近の粒子の移動形態と関連づけられてきた.しかし, アッパープレーンベッド領域からデューン領域に流速が下がった直後にできる小さいベッドウェーブ(アッパー・リップル)の粒子の移動形態, および, それを反映する粒子配列は調べられていない.今回の研究では, 砂床近くの粒子の移動形態を高速度カメラを用いて観察した.リップル領域ではリーサイド面で粒子はなだれて移動するが, デューン領域では, リップルと同程度の波高を持つアッパー・リップル発生時に粒子はシートフロー状で移動することがわかった.よって, 通常のリップルは粒子の長軸の向きがラミナに近く, アッパーリップルはラミナを基底にインブリケーションの傾向を持つと予想され, ともに小型の斜交葉理を形成する両者を粒子配列から区別できることが示唆される.