地質学雑誌
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106 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 中嶋 健, 檀原 徹, 鎮西 清高
    2000 年 106 巻 2 号 p. 93-111
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    奥羽山脈中軸に位置する湯田盆地の層序学的・年代学的検討から, 盆地内の大石層, 小繋沢層, 黒沢層および花山層は中期中新世~鮮新世(16-3 Ma)にわたるほぼ連続した地層で, 12-9 Maに顕著な年代のギャップが存在することが明らかになった.花山層は堆積相と化石から, 浅海~河川で形成された高周波シーケンスから構成され, この盆地が前期鮮新世まで日本海とつながっていたことが判明した.盆地の沈降曲線などから, この付近の奥羽山脈は中期中新世前期の急速な沈降後, 1)12-9 Maに起こった一時的・急速な隆起と和賀山地の陸化, 2)6.5-3 Maの隆起域と沈降域の分化, 3)3 Ma以降の逆断層の活動による脊梁全体の隆起と傾斜不整合の形成の3段階の隆起を経てきたことがわかった.和賀山地と真昼山地は異なった隆起と侵食の歴史を経てきた山地で, それが現在見られる地形と構造の違いを生んだと考えられる.
  • 遠藤 徳孝
    2000 年 106 巻 2 号 p. 112-119
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    粒子の移動形態は堆積物中の粒子配列に影響するので堆積学的に重要である.これまで種々のベッドフォームの粒子配列が調べられ, ベッド付近の粒子の移動形態と関連づけられてきた.しかし, アッパープレーンベッド領域からデューン領域に流速が下がった直後にできる小さいベッドウェーブ(アッパー・リップル)の粒子の移動形態, および, それを反映する粒子配列は調べられていない.今回の研究では, 砂床近くの粒子の移動形態を高速度カメラを用いて観察した.リップル領域ではリーサイド面で粒子はなだれて移動するが, デューン領域では, リップルと同程度の波高を持つアッパー・リップル発生時に粒子はシートフロー状で移動することがわかった.よって, 通常のリップルは粒子の長軸の向きがラミナに近く, アッパーリップルはラミナを基底にインブリケーションの傾向を持つと予想され, ともに小型の斜交葉理を形成する両者を粒子配列から区別できることが示唆される.
  • 広瀬 亘, 岩崎 深雪, 中川 光弘
    2000 年 106 巻 2 号 p. 120-135
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    北海道西南部の中期中新世以降の火山活動を, 火山岩の時空分布, 活動様式および火山岩の化学組成に基づいて, 12 Ma以前, 12-5 Ma, 5-1.7 Ma, 1.7-0 Mの各ステージに区分した.12 Ma以前には日本海沿岸を中心に高TiO2,Nb火山岩が散在し, 日本海拡大に伴う火山活動の影響が残っていたと考えられる.12 Ma以降は, 東北日本弧の北方延長として低TiO2,Nb火山岩が卓越する島弧火山活動が行われた.東北日本弧火山フロント北端は12-5 Maには増毛地域にあったが, 5-1.7 Maには札幌南方まで位置し, 第四紀には東北日本弧北端は現在の位置まで約100 km南下した.同時に5-1.7 Maには, 増毛地域は引張応力場のもとでアルカリ玄武岩質の単成火山群およびカルクアルカリ安山岩の大型盾状火山の活動場となった.東北日本弧北端の南下および増毛地域でのこうした特異な火山活動は, 大平洋プレートの沈み込みに伴う背弧海盆の形成, および千島弧前弧の東北日本弧への衝突に伴う日本海溝-千島海溝会合部の南下に対応していると考えられる.
  • 中島 礼, 間嶋 隆一
    2000 年 106 巻 2 号 p. 136-150
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    陸棚堆積物にみられる貝化石層は, 古生態や堆積学的情報を含むため, 堆積環境の推定を行う場合に重要な役割をもつ.しかしその有用性を十分に評価した研究は少ない.北海道中央部の沼田町に分布する上部中新統~下部鮮新統幌加尾白利加層は, 主に砂泥質堆積物から構成され, 幌加尾白利加層上部は上方浅海化を示す内側陸棚の堆積環境と推定される.この堆積物にみられる貝化石産状を, 物理的リワークだけによって形成されたタイプ1と生物攪拌を被ったタイプ2の2つに区分した.その結果, 両タイプの産出数は上方浅海化とともに漸次増大する一方, タイプ1とタイプ2の産出比はほとんど変化しないことがわかった.つまり, 内側陸棚の環境内においては, ストームなどの物理的リワークの頻度は深い方から浅い方へと増大するが, 生物攪拌の程度は水深にかかわらずほぼ一定であったことが明らかになった.
  • 高見 美智夫, 西村 祐二郎
    2000 年 106 巻 2 号 p. 151-160
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    山口県東部の日宛(ひなた)地域において, 接触変成作用に伴う炭質物の石墨化とK-Ar白雲母年代の若返りとの地質学的関係について, その一例を示した.炭質物のピーク形態や結晶度(見かけのd002値 : D値)の変化から, 接触変成作用に伴う石墨化は黒雲母帯の低温部でわずかに, その高温部で急速にそれぞれ進行し, 菫青石帯に至ってほぼ完了する.D値の変化のパターンは, 接触変成帯の中でもとくに黒雲母帯におけるK-Ar年代の若返りを検証することに最も適している.約3.5 ÅのD値を基準として, これより大きいD値を示す領域ではK-Ar年代は部分的に若返っていること, それより小さいD値を示す領域ではK-Ar年代は完全に若返り花崗岩のK-Ar年代に一致することが明らかになった.この基準となるD値を示す炭質物が受けた変成温度は, 白雲母のK-Ar系閉止温度(約350℃)にほぼ相当すると考えられる.
  • 成瀬 元, 前田 晴良, 重田 康成
    2000 年 106 巻 2 号 p. 161-164
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    Pachydiscus flexuosus, Tetragonites popetensis, Spheonoceramus hetonaianus, and other molluscan fossils are newly discovered from the Senpohshi, Hamanaka and middle Akkeshi formations, Nemuro Group, eastern Hokkaido, Japan. They are stage index fossils of Lower Maastrichtian. According to calcareous nannofossil biostratigraphy suggesting that the upper Akkeshi Formation is Paleocene in age, the K/T boundary in the Nemuro Group is possibly intercalated between the middle and upper Akkeshi Formation.
  • 廣野 哲朗, 中嶋 悟
    2000 年 106 巻 2 号 p. 165-168
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
  • 林 愛明, 大内 徹, 陳 讃煌, 丸山 正
    2000 年 106 巻 2 号 p. III-IV
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    1999年9月21日1時47分頃(現地時間), 台湾中部(北緯23. 8°東経120. 81°)でマグニチュード 7.6(Ms)(またはML7.3, 台湾中央気象局による)の集集地震が発生し, 台湾中南部から北部にかけて広い範囲に甚大な被害をもたらした. 今回の地震では, 100km以上に達する地表地震断層がほぼ既存の車龍埔断層(Chelungpu fault)に沿って現れた(第1図). 筆者らは11月28日から12月8日まで, 台湾経済部中央地質調査所(1999)により公表された地表地震断層の分布図(1/25, 000)をもとに, 地表地震断層の調査を行った. 今回の調査では, 地震断層全体の性状を観察し, 明瞭な地震断層沿いに約50地点で変位量と断層近傍の測線で水平短縮量を計測した. また, 地震断層沿いの数か所の露頭で基盤岩の地震断層面の走向・傾斜および断層条線のプランジ方向を計測した. 調査の結果, 地表地震断層は全体的に50°~85°東への傾斜角を持つこと, 地震断層の隆起側(東側)の近傍に明瞭な撓曲構造を伴ったこと, 最大変位量は左横ずれ約11m, 南東隆起約7.5mであることなどが明らかになった. 地震断層の北東および南の末端部の延長部についてはまだ未確認(調査中)である. また, 車龍埔断層の東側にある大茅埔‐讐冬断層(Tamoupu-Hsuangtungfault, 第1図)沿いに地割れと崖崩れ・地すべりや建物の倒壊などの被害が確認されたが, この断層沿いに地表地震断層が現れたかどうかについても現在調査中である. ここでは今回の調査で観察した車龍埔地震断層の一部を紹介する. 本調査は神戸大学都市安全センターの台湾・集集地震調査研究の一環として行われた.
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