抄録
男鹿半島西部地域に分布する漸新統門前層中部の火山岩類について, 岩石学的検討を行った.門前層中部の火山岩類は, 9タイプの斑晶鉱物組み合わせをもつ玄武岩~安山岩からなる.これらの火山岩類をTiO2含有量と記載岩石学的特徴の違いに基づいて4つの岩石グループに区分した.玄武岩にはリフト帯に産する玄武岩と類似する微量元素比をもつものと, リフト帯と島弧の玄武岩の中間的な性質をもつものがある.これらの性質の違いは, Nd同位体比の検討から起源マントルの違いを反映したものと考えられる.安山岩には花崗岩質の岩片, これに由来するとみられる融食した石英とAn組成の著しく低い斜長石などが含まれることや, 安山岩は幅広いNdI値とZr/Nb比を有することから, 安山岩の形成には, これらの値と比の低い花崗岩質岩石の同化作用の関与があったことを論じた.