抄録
荒島岳コールドロンは, 中央深成岩体・火山岩類・環状岩脈よりなる径7.5×5 kmの同心円状火山・深成複合岩体であり, 周囲に岩脈群を伴う.約20 Maに岩脈群と玄武岩・安山岩質成層火山体が形成され, 約18 Maに円筒状に陥没し, 環状岩脈と中央の石英モンゾ閃緑岩(SiO2=63 wt.%)が貫入した.火山岩類および随伴する堆積岩類はコールドロンの外側へ傾斜し, 再生ドームの形成が示唆される.火山・深成岩類の多くは, 中~高カリウムのカルクアルカリ系列に属し, Sr同位体初生比(SrI)は0.705-0.707で, 日本海底や能登半島の第三紀玄武岩(≦0.704)より高い.SrIとSr含有量の関係は, アルカリ玄武岩質とソレイアイト質のマントル起源マグマの混合および地殻における泥質片麻岩など高87Sr/86Sr物質の同化を示唆する.