抄録
南部北上山地南西縁部, 米谷地域北部の従来下部ペルム系錦織層とみなされていた石灰岩から, 中期ペルム紀を指示するフズリナ化石を見いだした.米谷地域でこれまで知られていなかったこの石灰岩相中部ペルム系を新たに畑の沢層として記載する.畑の沢層(層厚150 m以上)の下部と上部は石灰岩あるいは石灰岩・石灰質頁岩互層から, 中部は砂質頁岩と砂岩からなる.下部の石灰岩はCodonofusiella sp.や原始的なネオシュワゲリナ科のフズリナの産出から中部ペルム系叶倉統下部のMonodiexodina matsubaishi帯に, 上部はParafusulina cf. guatemalaensis, P. cf. lutugini, P. cf. motoyoshiensis, Colania cf. douvillei, Lepidolina? sp.などから叶倉統下部のColania kotsuboensis帯から上部のLepidolina multiseptata帯の下部にそれぞれ対比される.