地質学雑誌
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106 巻, 7 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 岡崎 浩子, 伊佐治 鎭司, 中里 裕臣
    2000 年 106 巻 7 号 p. 461-471
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    更新統下総層群上泉層にはギルバート型粗粒三角州が認められる.この三角州前置層の大規模フォーセット層理ごとに, 内部堆積構造や古流向, 粒度組成や含まれる貝化石群集などの解析を行った.その結果, フォーセット層理の内部堆積構造に"バックセット層理"が含まれることが明らかになった.ここでは前置面での混濁流の流下によって形成された平行層理相と高流砂階のシュートとプールが前置面を上流側に移動することによって形成されたと考えられるバックセット層理相の繰り返しがみられる.この内部堆積構造とその組成(粒度や貝化石群集)には明瞭な相関が認められ, 組成からも形成過程の違いが特徴づけられる.このようなギルバート型粗粒型三角州の発達は調査地点が河口にやや深い水深があり, 粗粒な堆積物が安定して供給されるなどの古地理的条件を満たしていたためと考えられる.
  • 石垣 朝子, 伊藤 慎
    2000 年 106 巻 7 号 p. 472-481
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    下部白亜系銚子層群に認められるハンモック状ベッドフォームのサイズ分布は, 対称性のよいウェーブリップルに認められるような対数正規分布のパターンを示す.また, ハンモック状ベッドフォームの波長は, 古水深の増加にともなって小さくなる傾向を示す.このことは, ストーム時の浅海底付近での振動流の軌道直径が, 水深の増加にともなって小さくなるためと考えられる.一方, 沖合でのストームの規模の指標となるストーム堆積物の厚さと, ハンモック状ベッドフォームの波長の間には, 明瞭な対応関係が認められない.ハンモック状ベッドフォームは暴浪にともなう振動流成分ならびに沖合に向かう一方向流成分の減少にともなって形成されると考えられており, 特に沖合のストーム堆積物の形成の初期に一方向流が卓越していた場合, ハンモック状ベッドフォームの波長の大きさは, 暴浪の最大の規模を直接反映していない可能性が考えられる.
  • 増田 富士雄, 宮原 伐折羅, 広津 淳司, 入月 俊明, 岩淵 洋, 吉川 周作
    2000 年 106 巻 7 号 p. 482-488
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    神戸沖の大阪湾底で掘られたコアの完新統の部分について, 堆積相解析を行い, 高密度の14C年代値と相対的海水準変動から, 次のような完新世の大阪湾の海況変動を復元した.11000年前に海面高度は約-50 mにあった.海進に伴い後退する三角州はエスチュアリーとなった.海面高度が約-30 mに上昇した9700年前に, 明石海峡での潮流が発生した.海面高度が約-12 mになると, 淀川河口が河内湾に退き, 備讃瀬戸が繋がり, 現在のような瀬戸内海が成立した.この時から約3000年前まで, 大阪湾全体が強い潮流の影響下にあった.5300年前~5000年前が大阪湾では最も海面が高い時期であった.1700年前頃に, 河内湾が埋め立てられ, 淀川三角州が大阪湾にまで前進し, 1000年前には神戸沖にまでその影響がおよぶようになった.
  • 渡辺 真人, 高橋 雅紀
    2000 年 106 巻 7 号 p. 489-500
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    房総半島鴨川市の川谷セクションにおいて31個の石灰質ノジュール試料を採取し, 9試料から珪藻化石が産出した.木の根層上部から天津層最下部にかけてDenticulopsis hyalina帯(NPD 4B), Crucidenticula nicobarica帯(NPD 5A)およびDenticulopsis praedimorpha帯(NPD 5B)が認められた.また, 神川層上部の再堆積したノジュールからThalassiosira fraga帯(NPD 2A)に相当する珪藻化石が産出した.天津層の最下部に, D.praedimorpha var. minorの初産出(D51), C.nicobaricaの終産出(D52), Denticulopsis crassaの第一アクメ(D52.5)およびD.praedimorpha var. praedimorphaの初産出(D53)が見いだされた.これらの珪藻化石生層準と他の浮遊性微化石生層準の層位関係を整理し, さらに他地域でのそれらの関係と比較した.
  • 久留 景吾, 伊藤 慎
    2000 年 106 巻 7 号 p. 501-510
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    房総半島北部の下総台地を構成する上部更新統木下層の浅海成堆積物に注目して, 堆積相と透水性の不均質性について定量的な検討を行った.主な検討対象は, ハンモック状斜交層理で特徴づけられる下部外浜堆積物, トラフ型斜交層理で特徴づけられる上部外浜堆積物, ならびに平行層理で特徴づけられる前浜・後浜堆積物である.堆積相の不均質性は堆積構造のラミナ面の傾斜方向の集中度の大きさによって評価された.その結果, 不均質性はハンモック状斜交層理砂層で最も小さく平行層理砂層で最も大きいことが明らかとなった.透水性の不均質性は垂直方向とラミナ面に沿う方向での違いに基づいて検討された.その結果, ラミナ面に沿う方向が, より良い淘汰度を反映して, 2倍程度大きい透水性を示すことが3種類の堆積物に共通して認められた.また, 堆積相の不均質性が大きい堆積物ほどラミナ面に沿う透水性が大きく, 層厚の変化が小さいため, 地下水流動系に大きな不均質性をもたらすと考えられる.
  • 永広 昌之, 石崎 国煕, 酒井 孝幸
    2000 年 106 巻 7 号 p. 511-519
    発行日: 2000/07/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    南部北上山地南西縁部, 米谷地域北部の従来下部ペルム系錦織層とみなされていた石灰岩から, 中期ペルム紀を指示するフズリナ化石を見いだした.米谷地域でこれまで知られていなかったこの石灰岩相中部ペルム系を新たに畑の沢層として記載する.畑の沢層(層厚150 m以上)の下部と上部は石灰岩あるいは石灰岩・石灰質頁岩互層から, 中部は砂質頁岩と砂岩からなる.下部の石灰岩はCodonofusiella sp.や原始的なネオシュワゲリナ科のフズリナの産出から中部ペルム系叶倉統下部のMonodiexodina matsubaishi帯に, 上部はParafusulina cf. guatemalaensis, P. cf. lutugini, P. cf. motoyoshiensis, Colania cf. douvillei, Lepidolina? sp.などから叶倉統下部のColania kotsuboensis帯から上部のLepidolina multiseptata帯の下部にそれぞれ対比される.
  • 本山 功, 兼子 尚知, 田中 仁氏, 工藤 俊哉
    2000 年 106 巻 7 号 p. XIII-XIV
    発行日: 2000年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    西表島に広く分布する中新統八重山層群西表層は, 潮間帯からプロデルタの浅海成堆積相が顕著であり, また, 振動とシキソトロピックな性質による変形構造(揺変性層間褶曲)が数層準に認められる. ここでは, 西表層を特徴づける堆積構造, 変形構造, および化石の産状について紹介する.
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