地質学雑誌
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広域風成塵堆積物のルミネセンス年代測定
鴈澤 好博/ 荒屋 純一椎名 孝Takashi Shiina
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2001 年 107 巻 12 号 p. 762-772

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抄録

東北地方に分布する風成塵堆積物からなるいわゆるロームについて, 4-11μmポリミネラル粒子を用いて, 7試料の熱ルミネセンス, 光ルミネセンス年代測定を日本ではじめて試みた.石英や長石類の細粒粒子は, 中国内陸から日本への輸送過程で太陽に曝されてブリーチされているので, ルミネセンス年代測定に最適な物質である.additive dose法とregeneration法の2種類の測定法によって検出されたTLとIRSLのDe(等価線量)はサンプル地点の地質層準に従って, 40 Gyから209 Gyまでの値を示した.原子吸光法と放射分析で研究したDose rate(年間線量)はDBD(乾燥容積重)から計算された含水率を考慮に入れて1.2 mGy/年から2.5 mGy/年までを示す.50 ka以下のIRSLとTL年代は挟在テフラから導かれる推定年代とよく一致した.さらに, TL法のAD年代は50 kaから120 kaまで推定年代とよく一致した.しかし, IRSLとTL regeneration法では50 kaを越えると推定される年代と比較して, 年代の減少(age short-fall)を示す.

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