2001 年 107 巻 3 号 p. 228-236
大阪平野は上町断層を境界として西大阪地域と東大阪地域の異なる基盤ブロックに区分される.大阪平野地下には層厚1,000~2,000 mの第四系が堆積している.建設基礎調査資料, 深層ボーリング資料および反射法断面資料を用いて大阪平野の東西地質断面図を作成し, 約120万年以降の上町断層の変位速度の検討や, 各海成粘土層基底を時間マーカーとして堆積盆地の沈降速度の見積もりを行った.その結果, 両基盤ブロックは, それぞれ傾動しながら全体として現在まで継続的に沈降していることが判明した.さらに, その沈降速度はMa9層準の40数万年を境に0.7~0.5 m/kyから0.5~0.2 m/kyと小さくなり, 40数万年前頃から沈降運動が沈静化していることが明らかになった.