地質学雑誌
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107 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 守屋 和佳, 平野 弘道
    2001 年 107 巻 3 号 p. 199-214
    発行日: 2001/03/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    北海道北西部築別地域に分布する白亜系は, 下位より上部蝦夷層群中部羽幌川層, 上部羽幌川層および函淵層群パンケ沢層からなる.中部羽幌川層は砂岩薄層を頻繁に挟む泥岩からなり, 上部羽幌川層は"羽幌型サイクル"と呼ばれる上方粗粒化サイクルにより特徴づけられる.上部羽幌川層はUh部層を除きおおむね泥岩および砂質泥岩からなるのに対し, パンケ沢層は主に砂岩からなり, 両者は岩相上明瞭に異なる.パンケ沢層最上部には厚い凝灰岩が発達する.本論では函淵層群パンケ沢層を再定義するとともに, 函淵層群が上部蝦夷層群を微傾斜不整合で覆うことを示した.アンモナイト類やイノセラムス類の生層序に基づき, 中部羽幌川層および上部羽幌川層下部はサントニアン階に, 上部羽幌川層上部はカンパニアン階下部に対比される.パンケ沢層からは今回時代決定に有効な化石は得られなかったが, 少なくともカンパニアン階上部以上に対比されよう.
  • 七山 太, 土井 康裕, 北田 奈緒子, 竹村 恵二, 杉山 雄一
    2001 年 107 巻 3 号 p. 215-221
    発行日: 2001/03/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    大阪平野西部, 上町断層系住之江撓曲の過去13万年間の活動履歴を評価するために, S波反射法地震探査を実施し, それを既存の住之江コアと対比した.その結果, 以下の2項目が明確となった.(1)住之江撓曲の最新活動は約14,000 yBP以前, 平均垂直変位速度は約0.2 m/ky以上と評価される.(2)沖積層堆積時に撓曲の活動が認められないことから, 住之江地域(標高-19 m)においては8,500 yBP頃海進が始まり, 縄文海進ピークの6,000 yBP頃まで急激に海水準が上昇したことが明らかとなった.
  • 高見 美智夫, 西村 祐二郎, 板谷 徹丸
    2001 年 107 巻 3 号 p. 222-227
    発行日: 2001/03/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    岐阜県西部および沖縄県北東部のジュラ紀-白亜紀初頭付加体に産するペルム紀-トリアス紀境界付近の遠洋性粘土岩を用いてイライトのK-Ar年代を測定し, 233~182 Ma(トリアス紀中世~ジュラ紀古世)の年代値を得た.この結果, 遠洋性粘土岩のK-Ar年代が付加作用の年代より有意に古いことが広域的に明らかになった.これらの年代値は, 遠洋性粘土岩が海洋地殻上で堆積した直後の続成作用から付加作用後の広域変成作用までの一連の過程の中で進行していたイライト化作用で形成されたイライトの平均的な年代であると推定される.この年代は, 異なる時代に形成されたイライトの混合程度や, 広域変成作用に伴うイライトからの放射性Arの部分的な逸脱程度の差異によって変化すると考えられる.
  • 内山 美恵子, 三田村 宗樹, 吉川 周作
    2001 年 107 巻 3 号 p. 228-236
    発行日: 2001/03/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    大阪平野は上町断層を境界として西大阪地域と東大阪地域の異なる基盤ブロックに区分される.大阪平野地下には層厚1,000~2,000 mの第四系が堆積している.建設基礎調査資料, 深層ボーリング資料および反射法断面資料を用いて大阪平野の東西地質断面図を作成し, 約120万年以降の上町断層の変位速度の検討や, 各海成粘土層基底を時間マーカーとして堆積盆地の沈降速度の見積もりを行った.その結果, 両基盤ブロックは, それぞれ傾動しながら全体として現在まで継続的に沈降していることが判明した.さらに, その沈降速度はMa9層準の40数万年を境に0.7~0.5 m/kyから0.5~0.2 m/kyと小さくなり, 40数万年前頃から沈降運動が沈静化していることが明らかになった.
  • 川村 信人, 植田 勇人, 中川 充, 加藤 孝幸, 日高収束帯研究グループ
    2001 年 107 巻 3 号 p. 237-240
    発行日: 2001/03/15
    公開日: 2008/04/11
    ジャーナル フリー
    High P/T metamorphic minerals are found from a Late Cretaceous accretionary complex (Ganpi-yama Complex) separately occurring within a serpentinite mass in the Kamuikotan Zone of the Sorachi-Yezo Belt, Hokkaido. The complex was previously referred to as the "undivided Hidaka Supergroup". The Yon-no-sawa Unit, a major member of the complex, is composed of deformed alternation of siliciclastic sandstone and mudstone, greenstones and chert. Sodic pyroxenes coexisting with quartz are found from greenstone, and metamorphic aragonite from sandstone and greenstone. The finding of these high P/T metamorphic minerals suggests that the Ganpi-yama Complex has, at least, a metamorphic affinity to the Kamuikotan Zone. An exact tectonostratigraphic correlation of the complex, however, is still open to the argument.
  • 前川 寛和, 井ロ 博夫, 榎本 哲二
    2001 年 107 巻 3 号 p. V-VI
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/11/26
    ジャーナル フリー
    兵庫県三原郡南淡町沼島は, 淡路島とは中央構造線で境されており, 兵庫県で唯一, 三波川変成岩類が分布する島である(藤本ほか, 1976). 島全域が三波川変成岩類によって占められており, 北部で緑色片岩, 南部で泥質片岩が卓越する. 全域にわたって泥質片岩中に黒雲母と曹長石が含まれることから, 曹長石・黒雲母帯に属すると考えられる. 最近, 筆者等は, 沼島北瑞部黒崎東方で, さや状褶曲(sheath fold)の良好な露頭を発見した. さや状褶曲の伸びの方向は, 引き伸ばし線構造の方向(N60-80°E 10-30°E)に一致する. さや状褶曲をなす岩石は珪質の泥質片岩~石英片岩で, 藍閃石, バロア閃石, アルカリ輝石, 黒雲母, 白雲母, ザクロ石, 緑泥石, 方解石, 石英, 曹長石, 石墨からなる. さや状褶曲は, 今回報告する露頭周辺にも多数認められる.
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