2001 年 107 巻 9 号 p. 557-564
栃木県烏山地域に分布する中部中新統荒川層群の小塙層から採取したシルト岩試料について, 石灰質ナンノ化石のReticulofenestra属のサイズ分布パターンの層位変化を調べた.4-5 μmサイズのReticulofenestra属は小塙層を通じて卓越している.それに対して, 9 μm以上のReticulofenestra属の初産出が凝灰岩Kb2とKb3の間に認められ, K-Ar放射年代値に基づくと13.8 Maに相当する.また, 10 μm以上のReticulofenestra属の初産出は, 小塙層の下部(凝灰岩層Kb7層準近傍)に認められ, Miocene isotope event 4 (13.0 Maあるいは若干若い)に関連していると推定される.また, 13.6 Ma~13.2 Maにおいて非常に小型のReliculofenestra属(2 μm以下)の多産が認められ, この間は, 生物生産性が高かったと示唆される.