地質学雑誌
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北海道中央部,夕張山地に分布する中新統川端層の層序と堆積年代
川上 源太郎塩野 正道川村 信人ト部 暁子小泉 格
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2002 年 108 巻 3 号 p. 186-200

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抄録

北海道中央部夕張山地に分布する川端層の,岩相層序と堆積年代を検討した.川端層は泥岩優勢の砂岩泥岩互層を主体とする下位の雨霧砂岩泥岩部層と,厚層の砂岩・礫岩を主体とし,砂岩優勢の砂岩泥岩互層を伴う上位の東山砂岩礫岩部層に区分される.5枚の凝灰岩鍵層(K1~K5)が広域に追跡され,両部層の境界は北から南へ若くなる.K5のフィッショントラック年代値として13.2±0.9Maを得た.またK5の150m下位の層準からCrucidenticula nicobarica Zone~Denticulopsis praedimorpha Zone(13.1 Ma~11.5 Ma)を,K5の400m上位の層準からDenticulopsis dimorpha Zone(10.0Ma~9.2Ma)を示す珪藻化石群集がそれぞれ得られ,川端層上限の堆積年代は少なくとも後期中新世まで達する.凝灰岩鍵層により示される同時間面と部層境界との関係から,堆積盆の埋積は北から南へ向かって進行したと考えられ,夕張山地においては礫質粗粒砕屑物の供給が後期中新世まで継続したことが明らかとなった.

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