我々は, 2001年7月末から8月中旬にかけて北西インド, ラダックヒマラヤのインダス縫合帯沿いの地域で予察的な地質調査を行った. 現地は標高4,000-5,000mの乾燥地域で, 岩石の露出も良く, 高度障害にさえ気をつければ地質調査には都合のよい地域である. 調査地域には, 北東から南西へ(1)カラコルムブロックを構成する深成岩類, (2)シュヨク縫合帯構成岩類, (3)ラダック深成岩類, (4)インダス縫合帯構成岩類, (5)ソモラリ変成岩類, (6)ザンスカール堆積岩類が分布する. (3)はパキスタンのコヒスタンアークを構成する岩石の東方延長と考えられており, 110-22Maの様々な種類の火成岩からなる. (4)はカルギル層, インダス層, ニダールオフィオライト, ジルダットオフィオライトメランジュからなる. ニダールオフィオライトは, 超塩基性岩・はんれい岩・玄武岩・チャートなどからなり, 典型的なオフィオライト層序を示す. ジルダットオフィオライトメランジュは, 玄武岩・チャート・石灰岩などのブロックを含むメランジュである. (5)はインド亜大陸の上の陸棚相堆積物が変成作用を被って形成された変成岩や花岩類であり, (6)おかはその非変成相である. 今回の予備調査では, (3)-(5)の分布域を概査することができたので, そこに見られる地質の特徴を速報する. なお, 第2~5図の写真撮影地点は第1図に示されている.
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