抄録
ロシア・サハリン州南部のナイバ川流域に分布する白亜系は,極東地域における模式層序のひとつとして古くから知られている.本論文は,筆者らが1990年以来本地域の白亜系上部を対象として行ってきた化石層序および古地磁気層序をまとめたものである.本地域の白亜系上部は下位から,アイ層,ナイバ層,ブイコフ層,クラスノヤルカ層に区分され,Jimboiceras mihoense帯(コニアシアン階)からPachydiscus subcompressus帯(マストリヒシアン階)まで,北太平洋域の上部白亜系を特徴づける一連の大型動物化石群を産する.これらは,白亜紀磁気静穏期のクロンC34nからマストリヒシアン階後期のクロンC30nまで,ほぼ連続した古地磁気層序をなすと考えられる.