地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
日本海南部KT96-17 P-2コアの火山灰層序 : 大山草谷原軽石層(KsP)の噴出年代
堂満 華子椎原 美紀鳥井 真之塚脇 真二尾田 太良
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 108 巻 9 号 p. 545-556

詳細
抄録
日本海南部の隠岐トラフ南東縁部で採取されたKT96-17 P-2コアには5枚の火山灰層が挟在する.これらの火山灰層について火山ガラスの形態や主成分化学組成,および鉱物組成を調べた結果,ATとK-Ahの両層準の間に鬱陵島起源の降下火山灰層を2枚見い出し,それらの火山ガラスの主成分組成が互いに異なることを明らかにした.日本海の古海洋学的研究において重要な年代指標とされるU-Okiはこれらが混同されている可能性があり,従来U-0kiの対比候補とされていた鬱陵島の醗陵降下テフラU-2だけではなくU-3やU-4も広域に分布した可能性が指摘される.また,本コアに挟在するKsPの直上ならびに直下の層準から採取した浮遊性有孔虫殻を試料としてAMS 14C年代を測定した結果,約18,000 yr BPの年代値を得た.KsPの噴出年代は約20,000~22,000cal yrBP程度と見積もられる.
著者関連情報
© 日本地質学会
次の記事
feedback
Top