地質学雑誌
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走査型レーザー顕微鏡による花崗岩中の割れ目の可視化
大西 セリア智恵美清水 以知子
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2003 年 109 巻 10 号 p. XIX-XX

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抄録

レーザー蛍光法による花崗岩中の微小割れ目の可視化の例を紹介する. 試料には白亜紀花崗岩(岐阜県土岐花崗岩)のボーリングコアを用いた. 試料チップは蛍光剤を含むアクリル樹脂で充填し, 中央部を切断・研磨した上で, 走査型レーザー顕微鏡 (laser scanning microscope, LSM)で蛍光観察した(大西・清水, 2003).共焦点LSMでは深さ方向にも解像度をもつため, 従来の蛍光法・染色法よりも鮮明な像を得ることができる. 今回この手法を用いることによって, 新鮮な花崗岩母岩・断層周辺のフラクチャー帯・断層中軸部のカタクレーサイトにおける間隙構造の違いが明瞭になった. 花崗岩母岩(第2図)では主として結晶粒界に沿った割れ目がみられる. 準3次元像(第3図)では, 間隙が実際に面状に連なって分布していることが見てとれる. フラクチャー帯(第5図)では結晶内部を貫いて, 方向性のある割れ目が生じている. カタクレーサイト(第7図)においては結晶の破壊・粉砕によって, 微小間隙が網の目のように発達していることがわかる.

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