地質学雑誌
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ロシア白海 Winter coast に分布する原生代ベンド紀の Erga Formation とエディアカラ生物群化石
東條 文治大野 照文川上 紳一
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2003 年 109 巻 11 号 p. XXI-XXII

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抄録
モスクワから北へ約1000kmに位置する白海周辺地域は, バルト楯状地における原生代後期ベンド紀の模式地である. 特に白海南東部, Winter coastに露出するErga Formation は,非常に細かな形態まで保存しているエディアカラ生物群の体化石を多産することで知られ, エディアカラ生物群に関するより豊富な形態情報を提供し続けている(Fedonkin, 2003). すでに, この地域から体化石50種, 生痕化石20種以上が記載されており, 化石の産状, 堆積環境の理解なども進んでいる(Fedonkin, 2003など).2003年から5年計画で「ベンド紀生物群の盛衰」と題するIGCP計画が採択され, 白海地域のほかに, ナミビア, 南オーストラリア, 南米などに分布するベンド紀の地層の対比とそこから産出する化石の比較を行って, エディアカラ生物群の多様性の時間変化とその環境要因を明らかにすることになっている. 最新の研究成果をもとに, 地球史におけるエディアカラ生物群の盛衰の意義がクローズアップされるようになるだろう. また, これらの標本はロシア科学アカデミー古生物学研究所に登録作業中である.
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© 日本地質学会
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