地質学雑誌
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東北本州弧,朝日山地南縁に分布する中新世火山岩類のフィッション・トラック年代測定
岩野 英樹星 博幸檀原 徹吉岡 哲
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2003 年 109 巻 3 号 p. 179-191

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抄録

朝日山地南縁部に露出する中新世火山岩類の年代を明らかにするために,ジルコンを用いたフィッション・トラック(FT)年代測定研究を行った.測定試料として,北小国層,弁当沢橋層及び明沢橋層の明沢川凝灰岩部層から3つの火砕岩を採取した.年代測定は外部ディテクター法により行い,ジルコンの内部面(ED1)と外部面(ED2)に適用した.ジルコンの色調,結晶形,伸長性,稜の鋭利さ,平面性などを含む形態的特徴と,外部面でのFT密度及びFT長分布に基づいて,ジルコンのグルーピングを行った.北小国層と弁当沢橋層の試料では,本質ジルコン結晶のED1年代とED2年代が一致した.4つのジルコングループをもつ明沢川凝灰岩部層試料では,ED1年代は1つの年代集団を示すが,ED2年代はグループごとに異なり,ED1年代よりも古くなった.FT熱年代学的解釈とアニーリング実験から,外来結晶のED1年代は明沢川凝灰岩部層の噴出時に完全にリセットされたと説明される.さらにED1年代とED2年代の不一致は,天然でエッチングされた外来結晶外部面のFTや外部効果が原因と考えられる.北小国層,弁当沢橋層及び明沢橋層明沢川凝灰岩部層はそれぞれ22Ma,16Ma,16-15Maに形成されたと結論付けられる.

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