日本地質学会学術大会講演要旨
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第128学術大会(2021名古屋オンライン)
セッションID: R17-O-3
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R17(口頭)情報地質とその利活用
20万分の1日本シームレス地質図V2の凡例簡略化の試み
*斎藤 眞
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抄録

2017年に20万分の1日本シームレス地質図V2(=V2版)(*1)を公開した.凡例は地質図に示される情報量を支配し,その時の地質学的な進展状況を反映する.20万分の1日本シームレス地質図(=旧版)は1992年の100万分の1日本地質図第3版の凡例をもとに作られていたため,凡例数は基本版で約180,岩相区分を増やした詳細版では約380であった.V2版では,これ以降の25年の地質学的知見を加えた新たな凡例を作成して全面改定を行った.凡例はコード化され,火成岩,堆積岩,付加体,変成岩に区分され,それぞれ[形成年代]_[岩石種]_[変成分帯/付加年代]のコードで示されている.これにより計2400超の凡例となった(*2).

 この凡例ではコンビューターで扱うことを想定して,それぞれコードの一部削っていくことによって,より簡素化した凡例にできるよう構造化されている.しかし凡例構造を理解して簡略化し,必要な用途に使い分けるには地質学的知識が必要であり,簡略版の凡例を作って欲しいという意見があった.さらに,この地質図を防災用途として自治体で利用したり,これまで使われていない新しい分野で使ったりしてもらうためには,それら用途に応じたかなり簡略化した凡例が必要である.

 このため,まずは旧版の凡例数に近い数の凡例数を持つ凡例に簡素化し,そこからさらに用途別に簡略化することを考え,簡略化の試案を作成した.

 形成年代については白亜紀を2区分,ジュラ紀以前は紀で1区分ないし複数の紀で1区分とした.また,岩石種も大幅に簡略化し,堆積岩では非海成,汽水成,海成と石灰質,珪質ほかとし,火成岩も珪質,苦鉄質,超苦鉄質程度とした.また付加体もこの岩石種区分に従い,さらに変成岩も付加体の岩石種区分を援用して簡略化した.変成分帯についいても高/低に2区分程度とした.

 これにより旧版の基本版程度で,現実に存在する凡例の数として200程度,旧版の詳細版程度で500程度に縮小できた.今後これらの凡例を適用した地質図を作成し,V2版の活用先を増やしていく予定である.

*1 https://gbank.gsj.jp/seamless/

*2 https://gbank.gsj.jp/seamless/v2/legend.html

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