日本地質学会学術大会講演要旨
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第130年学術大会(2023京都)
セッションID: J1-P-1
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J1. ジュニアセッション
沖縄県に漂着した軽石の組成とその産出地に関する考察
*二松學舍大学附属高等学校 理数科研究部
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抄録

研究者名:志賀明輝(Haruki Shiga)【目的】2021年10月頃、沖縄県沿岸に多くの軽石が漂着し、船が出港できないなどの影響が出た。この件について興味を持った私は沖縄県に手紙を出し、同年12月に沖縄県環境部環境整備課より試料の提供を受けた。この軽石について漂着した時期から2021年8月13日に大規模な噴火を起こした福徳岡ノ場由来によるものであると言う仮説を立てた。この仮説を実証するべく、本研究を開始させた。本研究は軽石を試料として岩石プレパラートの作成、及びを構造の観察を用いて研究を進めた。構造の観察、および一般的な玄武岩、安山岩などの火山由来の岩石との比較を通じ、軽石の組成成分及び形成の過程に関する考察を試みた。【実験方法】本研究では、岩石プレパラートを作成し、偏光顕微鏡を用いることで組成成分の特定を試みた。尚岩石プレパラート作成にはカーボランダム、及びアランダムを用いた。さらに海流図を用いることで、軽石の産出地及び経由ルートの特定を試みた。【結果と考察】岩石プレパラートの観察の結果、斜長石、角閃石等複数の組成岩石と、繊維状の鉱物等の特徴的な組織が確認された。その際、班状組織様の部分が確認されたため、深成岩とは明らかに違う過程を経て形成されたと考えられる。このことから溶岩が急速に冷却される環境において形成されたことが示唆された。さらに海上から漂着したことから海底火山性のものである事が判明し、数年以内に日本近海で海底火山が噴火した事例が福徳岡ノ場除いて無いことから、この軽石は福徳岡ノ場由来の物である可能性が極めて高いと判断した。この結果をもとに海流図を解析したところ、福徳岡ノ場において産出された軽石が沖縄県に漂着することについて矛盾は見られなかった。以上の点より、本研究では沖縄県に漂着した軽石は福徳岡ノ場由来の物であるという結論に達した。また、結晶組織、組成から、安山岩が最も近い性質を持つと考えた。【参考文献】猪俣道也.地学実験・見学案内.東京農業大学教職課程,2013.チームG.薄片でよくわかる岩石図鑑.誠文堂新光社,2014.青木正博.岩石薄片図鑑.誠文堂新光社,2017.気象庁.“日別海流”.気象庁.https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/data/db/kaikyo/daily/current_HQ.html

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© 2023 日本地質学会
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