日本地質学会学術大会講演要旨
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第130年学術大会(2023京都)
セッションID: J1-P-13
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J1. ジュニアセッション
堆積岩における風化プロセスの再現
★日本地質学会ジュニアセッション奨励賞★
*東京学芸大学附属高等学校 附属高等学校
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抄録

研究者氏名:富澤 優近年、集中豪雨などにより土砂災害が発生している。その一因には岩石の風化が考えられ、水が岩石にしみ込み,どのように風化していくのか疑問に感じ,岩石が風化するプロセスを再現しようと考えた。また、海岸付近で見られる塩類風化についても同様に模擬実験を行った。本実験では,泥岩、砂岩、礫岩、凝灰岩、石灰岩、チャートの6種類の堆積岩を用いた。岩石の大きさは、長径約2cmの小さいものを使用した。実験方法は,①ノギスで岩石の長径・中径・短径を測定した後、岩石の体積と質量を測定し密度を求めた。②岩石を室温で水と濃度10%の塩化ナトリウム水溶液に数時間以上浸した。③水または塩化ナトリウム水溶液から取り出した6種類の岩石を冷凍庫に入れ、取り出し後に岩石の質量を計測した。④恒温機の中に入れて,水分を蒸発・乾燥させた。⑤恒温機から取り出した岩石の⾧径・中径・短径、体積、質量、密度を測定し,①の状態のものと比較した。上記のサイクルを7回繰り返し,その変化の様子を観察・計測した。また,水(による物理的風化)と塩化ナトリウム水溶液(による塩類風化)での比較をした。水を用いた実験では、6種類の岩石は体積、質量と密度に変化はなかった。一方、塩化ナトリウム水溶液を用いた実験において、泥岩は2サイクル目で泥岩の表面に塩が析出され割れ目が入り、3サイクル目には割れてしまった。4サイクル目ではさらに数本の割れ目が観察された。泥岩では2サイクル目から質量が増加した。凝灰岩は、6サイクル目に表面に塩が析出し、質量は2サイクル目から増加した。泥岩と凝灰岩は塩化ナトリウム水溶液がしみ込み、塩を含んだため、質量が増加したと考えられる。その他の砂岩、礫岩、石灰岩、チャートは表面の様子や質量に変化がみられなかった。以上の結果から、泥岩や凝灰岩ほど風化しやすい傾向があることがわかった。また、水よりも塩化ナトリウム水溶液の方が、水分蒸発により塩が析出し、塩の圧力により崩れたと考えられる。今後も同様の風化の再現実験を行う予定である。キーワード:堆積岩、物理的風化、海水、塩類風化

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