日本地質学会学術大会講演要旨
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第131年学術大会(2024山形)
セッションID: T15-O-15
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T15 .地域地質・層序学:現在と展望
複数の地層群から復元した同一地磁気逆転周辺の古地磁気変動記録の比較
*小西 拓海岡田 誠小塚 大輝
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抄録

房総半島中央部には,古第三紀以前の岩石や地層からなる嶺岡帯が前弧外縁隆起帯として位置し,その北側には前弧海盆で形成された下部~中部更新統の上総層群が,南側には海溝陸側斜面で形成された上部鮮新統~下部更新統の千倉層群がそれぞれ分布する.

これまでの微化石・古地磁気による年代層序学的検討に基づき,千倉層群と上総層群下部~中部はほぼ同時代の地層であることが明らかにされている(新妻,1976;佐藤ほか,1988;小竹ほか,1995など).両層群はテフラ層を多数狭在し,それらの一部は広域テフラとして知られている.上総層群下部の広域テフラについては,田村ほか(2019)により大原層以下の上総層群から26層の広域テフラの層位,岩相,岩石学的特徴及び化学組成が報告されている.そして,宇都宮(2019)により房総半島東部に分布する上総層群下部(勝浦層上部~黄和田層)の岩相層序が詳細化されるとともに,田村ほか(2019)などで示されたテフラ層の層位が明確になった.千倉層群では布良層及び畑層において岡田ほか(2012)及びKonishi and Okada (2020) によりおよそ3.2~1.9 Maの連続的な古地磁気層序が構築され,そのうち2.9~2.3 Maの層準に関しては広域テフラが複数確認された(Tamura et al., 2016).

これらの層序学的研究を背景に,上総層群下部における古地磁気層序の構築および千倉層群畑層におけるテフラ層の記載・化学組成分析により両層群の詳細な層序対比が行われた(小西ほか,2023).その結果,上総層群最下部の勝浦層から黄和田層にかけて計8枚のテフラが対比され,上総層群でFeniとOlduvai正磁極亜帯に対応する正磁極帯が検出された.

本発表では,千倉層群と上総層群においてFeniとOlduvai正磁極亜帯周辺の古地磁気変動記録を復元したので,その比較結果を報告する.

引用文献

Konishi and Okada (2020), Prog. Earth Planet. Sci., 7, 35.

小西ほか(2023),地質雑,129,469-487.

小竹ほか (1995), 地質雑, 101, 515–531.

新妻 (1976), 地質雑, 82, 163–181.

岡田ほか (2012), 地質雑, 118,97–108.

佐藤ほか (1988), 石技誌, 53,475–491.

Tamura et al. (2016) ,Geograp. Rep. of Tokyo Metrop. Univ., 51, 41-52.

田村ほか (2019), 地質雑, 125, 23–29.

宇都宮(2019), 上総大原地域の地質 5万分の1地質図幅, 第3章,11-33.

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