日本地質学会学術大会講演要旨
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第131年学術大会(2024山形)
セッションID: G-P-17
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G-P.ジェネラル ポスターセッション
骨材製造ラインの“デッドストック”を用いた原石の評価
*大河内 誠増村 悠馬明渡 翔大
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抄録

1.はじめに

本報告では、コンクリート骨材原石山において、骨材製造ラインの“デッドストック”を活用し、材料評価を実施した事例を紹介する。

“デッドストック” には、実機で破砕・分級された材料が供給される。これらは、人為的・強制的に製品ラインに押し込まない限り、供給された材料が最終製品に混入することはない。したがって、このスペースを使えば、原石山で確認された材料が、実機での破砕・分級後にどのような製品になるか確認することが可能である。

2.デッドストック

一次破砕後のサージパイル、骨材貯蔵設備の地下には、運搬ルートとしてのベルトコンベアが設置されている。サージパイルや骨材貯蔵設備のベルトコンベアから離れた範囲には、人為的に押し込まない限り、運搬ルートであるベルトコンベアに材料が供給されないいわゆる“デッドスペース”が存在する。このデッドスペースに貯まる初期破砕材量が山状のデッドストックとなる。

3.デッドストックを用いた材料確認の意義

原石山では様々な地質調査が実施されるが、調査時の想定よりも施工時の歩留りが低下したといった結果を耳にすることがある。これは、調査精度や不確定要素(調査で把握しきれなかった劣化部など)の存在の要因もあるが、調査技術者の評価が施工技術者に的確に伝わっていないことが要因となっているケースもある。したがって、掘削材を用いた実機による破砕とその結果を踏まえた材料の再評価・再確認は重要と考えられる。4.試験骨材対象岩盤と試験内容

今回の試験で対象とした岩盤は、花崗岩である。これらは、調査・設計段階で、材料区分が実施されており、密度・吸水率が一定の目安となる。

試験した岩盤の切り羽での出現パターンおよび発破後の状況は、表-1のとおりである。それぞれについて確認試験を以下のような流れで実施した。

①掘削現場で切り羽状況の確認

②発破後の材料採取

③採取材を一次破砕設備に投入

④サージパイルで材料採取

⑤重機でサージパイル下のベルトコンベアに投入

⑥粗骨材貯蔵施設および細骨材貯蔵ビン前のベルトラインで2次破砕・篩い分け後の材料採取

5.試験結果

確認試験の結果は以下のように原石を評価している。

SP-0:全量採取(全量一次破砕設備投入)

SP-1:大玉をグリズリ選別採取(選別後大玉を1次破砕設備投入)

SP-2:大玉をグリズリ選別採取(選別後大玉を1次破砕設備投入)

SP-3:全量廃棄

6.おわりに

“デッドストック”を活用するといった発想は、調査・設計段階の技術者、特に地質技術者にとって、調査時に判断している露頭、横坑、ボーリングコアの評価、施工中に確認される切り羽、発破後の岩盤状況、そして、最終製品のイメージへとつなげる意味で有用と考えている。

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