2022 年 30 巻 3 号 p. 311-315
【目的】背臥位(P0),45°ギャッジアップ臥位(P45),端坐位(PS)間における呼吸機能,咳嗽能力の変化に着目し,若年者と高齢者で比較することを目的とした.
【対象と方法】対象者は,若年者22名と高齢者17名とした.呼吸機能と咳嗽能力を測定した.測定時の姿勢条件は,P0,P45およびPSの計3条件とした.
【結果】若年者では肺活量や咳嗽時最大呼気流速において各姿勢間で有意差がみられ,1秒量やピークフロー(PEF)の項目でもP0とPSの比較で有意差があり,すべての項目でPSが最高値を示した.高齢者ではPEFにおいてP0とP45に有意差がみられ,P45が最高値を示した.
【結語】呼吸機能や咳嗽能力は,PSが最も高値を示すとする研究が多い.しかし高齢者では咳嗽に関係する指標はP45が最も高値を示した.これは体幹の安定性向上により,呼気筋をうまく使用できた可能性があるのではないかと考える.